高卒で就職しようと思っていると話すと、やめとけと言われることがあります。
あるいは、もう働き始めてから「この選択は間違いだったのかな」と検索した人もいるかもしれません。
結論から言うと、高卒就職は「やめとけ」ではありません。
ただし、本当に危ないのは学歴ではなく、最初に入る会社をどう選ぶかです。
ここだけが結果を分けます。

自分は高卒で工場に就職し、10年働きました。
今ではありえないと思うでしょうが、自分が勝手にやっているだけだろと言われた、残業代の出ない残業、休日返上での有志という名の奉仕メンテナンス、ミスをすれば怒鳴られる毎日。
それが異常だと気づくまでに、10年かかりました。
この記事を読めば、その10年をあなたは使わずに済みます。
判断材料を先に持てるからです。
- 「やめとけ」と言われる4つの理由と、それぞれへの反論
- 高卒就職で本当に危ないのは学歴ではなく会社選びである理由
- 高卒でも転職で評価された実際の話(20社受けた結果)
- すでに働いていて「おかしいかも」と感じたときの確認方法
【結論】高卒就職は「やめとけ」ではない! 危ないのは会社選びだけ

高卒で就職すること自体に問題はありません。
問題になるのは、入った会社が働き続けられる環境かどうかです。
実際に、高卒就職について質問が集まる掲示板を見ていると、回答している人たちの立場はきれいに分かれます。
「苦労は少なかった。資格を取って家族を養えている」という人もいれば、「大手は大卒しか採らないから後悔している」という人もいます。
でも、意見が分かれているのは表面だけでした。
どの立場の人も最後は「最初の会社選びで決まる」と書いていたのです。
学歴が結果を決めているのではなく、会社が決めている。ここは自分の実感とも一致します。

じゃあ高卒でも大丈夫ってことですか?



大丈夫です。ただ”どこでもいい”ではありません。
自分は会社選びを完全に間違えて、10年それに気づけませんでした。
その話をこれから書きます
「やめとけ」と言われる4つの理由と、その反論


言われる理由には共通のパターンがあります。
ひとつずつ見ていきましょう。
| よく言われること | 実際はどうか |
|---|---|
| 大手は大卒しか採らない | 職種によります。 現場では実績で評価が逆転します |
| 生涯年収で差がつく | 奨学金という借金が計算に入っていません |
| 選択肢が狭くなる | 転職で広げられます。 実際に広がりました |
| 学歴で見下される | 現場では学歴より仕事の内容を見られます |
とくに引っかかるのが2番目です。
「大学に行っておけば」と言う人は、その学費をどうやって払うのかまでは考えていません。
自分の場合、親から「大学費用は出せない」と言われていました。
つまり進学するなら奨学金、それは借金です。
返済しながら社会人生活を始める重さを背負ってまで、大卒という肩書が必要だったかというと、今となっては必要ありませんでした。
そして4番目についても、はっきり書いておきます。
転職先で自分は、大卒の同僚よりボーナスの評価額が高かったことがあります。
現場で結果を出していれば、学歴は評価の材料から外れていきます。
肩書ではなく実績が見られる場所は、確かに存在します。
自分が高卒で就職を選んだ理由は、立派なものではなかった


自分が就職を選んだ理由は、志が高かったからではありません。
まず、大学費用が出せないと言われていたので、進学という選択肢が事実上ありませんでした。
選んだというより、それしかなかったという状態でした。
そのうえで、勉強も嫌いでした。
あと数年間机に向かうより、早く働いて自分で稼いだお金を自分の好きなように使いたい。
それが本音でした
「やめとけ」と言われる人の中には、同じような理由の人もいると思います。
でも自分は、この動機が悪かったとは思っていません。
問題は動機ではなく、その先で入る会社を見る目を持っていなかったことでした。
【本当の落とし穴】18歳には会社の異常が判断できない


ここが、この記事で一番伝えたい部分です。
自分はアルバイトの経験がほとんどないまま社会に出ました。
だから比べる基準がありませんでした。
ひどい環境に入っても、それがひどいと気づけなかったのです。
実際にどんな職場だったかを書きます。
- 残業は1日3〜4時間。それが給与に反映されず、無給で働いていました
- 休日も返上してメンテナンス作業。これも給与は出ませんでした
- 交替勤務なので、休みの日も仕事が終わったあとも、仕事の連絡が鳴り止みませんでした
- ミスをすれば怒鳴られ、ひどいときにはビンタをされて鼓膜が破れました
- 引き継ぎの1時間前から、動悸が止まらなくなっていました
いま書き出すと異常だとわかります。
でも当時は「厳しい職場なんだな」と思っていました。
他を知らなかったからです。
はっきりさせておきます。
残業代を支払わないのは労働基準法違反です。
そして手を出すのは指導ではなく、暴行です。
体に傷が残るなら傷害にもあたります。
「厳しい上司」で説明できる話ではありません。
もし今これに近い状況にいるなら、労働基準監督署や各都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。
無料で、匿名でも話を聞いてもらえます。
会社に連絡する前に、まず外の人に確認してみてください。
10年、異常だと気づけなかった


自分がこの環境から抜けたのは、入社から10年が経ってからでした。
抜けようと思ったきっかけは、「もう限界だ」という気づきではありませんでした。
コロナ禍で会社の業績が落ち、給与が6割まで減らされたことです。
休業手当は法律上、平均賃金の6割以上と決まっています。
つまり法律の最低ラインちょうどまで下げられた形でした。
家族を養えなくなり、それで動きました。
つまり自分は、暴力や無給の残業では動けなかったのです。
動けたのは、生活が成り立たなくなったからでした。
そして転職したあと、はじめてわかりました。
新しい職場では、そんなことは一切起きませんでした。
残業代は出る。
休みの日に連絡は来ない。
ミスをしても手は出ない。
前の職場が異常だったと気づけたのは、外に出たあとでした。



10年も気づかないものですか…?



中にいると基準そのものが壊れるんです。
毎日それが当たり前になるので。
だから”おかしいかどうか”は、中では判断できません。
外の情報に触れるしかないんです
これが、この記事の核心です。
会社が異常かどうかを判断するには、比べる相手が必要です。
そして中にいる限り、比べる相手は手に入りません。
高卒就職と進学、どちらがいいのか


掲示板でもよく聞かれている質問です。
判断の軸を整理していきましょう。
| 高卒就職が向いている場合 | 進学を検討した方がよい場合 |
|---|---|
| 学費を借金せずに出せない | 学費を出せる、または返済計画が立つ |
| 早く働いて自分で稼ぎたい | 明確にやりたい専門分野がある |
| 現場の仕事に興味がある | 資格が学歴要件になる職業を目指す |
| 手を動かす仕事が好き | 研究職や専門職を志望している |
決め手になるのはお金のことだけではありません。
ただ、奨学金を借りる場合は「返し始める時期」と「毎月の返済額」を先に計算しておくことをおすすめします。
数字にすると印象が変わります。
そして進学するかしないかを選ぶより、どちらを選んでも最初の職場を見る目は必要です。
大卒でも同じ落とし穴に落ちます。
高卒は転職で不利になるのか【20社受けた実話】


不利な面はあります。
ただ、思っているほどではありません。
実際の数字を出します。
自分が転職活動をしたときの結果です。
| 応募 | 書類通過 | 内定 | 期間 |
|---|---|---|---|
| 20社 | 5社 | 2社 | 3ヶ月 |
最初は書類が全く通りませんでした。
原因は学歴ではありませんでした。
自分の実績を棚卸しせずに、「工場勤務です」というだけで応募していたことでした。
やったことを言語化してから、通過するようになりました。
現場での役割、後輩に教えた経験、対応した設備や工程。
書き出してみると、意外に材料はありました。
大卒との待遇差が完全になくなるわけではありません。
そこは正直に書きます。
ただ、現場に近い職種では学歴より経験が見られます。
冒頭に書いたボーナスの話がまさにそれでした。
就職する前に見ておきたい会社の見分け方


18歳でも確認できることがあります。
求人票と面接で、ここだけは見てください。
- 残業時間が書かれているか。書かれていない、または「1日平均」で濁されている求人は要注意です
- 年間休日数。105日を下回る場合は、休日出勤が前提になっていないか確認してください
- 基本給と手当の比率。手当が大きいと、その手当がなくなった瞬間に生活が変わります
- 離職率や平均年齢。若い人だけの職場は、続かない理由があることもあります
- 面接で残業や休日について質問できるか。嫌な顔をされたら、その反応が答えです
学校の先生に「この会社どう思いますか」と聞くのも有効です。
過去に卒業生を送り出した会社なら、その後どうなったかを知っている場合があります。
自分がもし18歳に戻れるなら、給料の額より先に、この項目を確認します。
もう働いていて「おかしいかも」と思ったら


すでに就職していて、この記事にたどり着いた人へ書きます。
先に書いたとおり、中にいると判断できません。
なので基準を外から持ってきてください。
ひとつでも当てはまるなら、その職場は普通ではありません。
- 残業代が全額支払われていない
- 休日にも仕事の連絡が来て、対応しないと責められる
- 怒鳴られる、物を投げられる、手が出る
- 出勤前に体調が悪くなる、眠れない、動悸がする
- 「うちの業界では普通」と言われて説明が終わる
とくに4つ目は、体が先に答えを出しているサインです。
自分の場合は引き継ぎの1時間前から動悸が止まりませんでした。
あれは我慢するものではありませんでした。
やれることは3つあります。
- 労働基準監督署、または総合労働相談コーナーに相談する(無料)
- 求人を見て、他の会社の条件と比べてみる(比較材料を手に入れる)
- 自分から言い出せない場合は、退職を代わりに伝える手段もあります
辞めると決めなくて構いません。
まず外の情報に触れるだけで、自分の職場が普通かどうかがわかります。
自分はそれをしなかったので、10年かかりました。
よくある質問


【まとめ】あなたの10年を、気づかないまま使わないでほしい


高卒就職は「やめとけ」ではありません。
学歴が結果を決めるわけではないからです。
決めるのは最初に入る会社です。
そして18歳の時点では、その会社が普通かどうかを判断する材料を持っていません。
自分は持っていませんでした。だから残業代の出ない残業も、手が出ることも、「厳しい職場」だと思って10年過ごしました。
異常だと気づいたのは、外に出たあとでした。
中にいる限り、比べる相手が手に入らないからです。
だから、これから就職する人には求人票の見方を持っていってほしいです。
そしてもう働いている人には、辞める決断より先に、外の情報に触れてほしいと思っています。
求人を見るだけ、誰かに相談するだけで構いません。
自分は10年かけて気づきました。
あなたは、その10年を使わなくていいはずです。
【参考】
- 労働基準法第26条(休業手当)、第37条(割増賃金)
- 厚生労働省 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署内に設置、無料)
この記事は筆者の実体験をもとに執筆しています。
労働環境や転職の結果は個人の状況により異なります。
労働条件に関する具体的な判断は、労働基準監督署や専門家にご相談ください。





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