「日本食が食べたくて仕方ない!!!」
そう思い始めたとき、海外駐在員の多くは同時に「自分だけがこんなにつらいのかな」と思ってしまいます。
多くの人が通る道です。
3ヶ月目に牛丼を恋しがるのも、現地で醤油を見つけて600円でも買ってしまうのも、だいたい全員が通る道です。
メキシコに3年住んだ自分の話をします。
赴任3ヶ月目に吉野家の大盛りが頭から消えなくなった日のこと、家族が送ってくれたふりかけで泣きそうになった夜のこと。
日本食が恋しいのは表面で、その下には別の感情があったと気づいたこと。
「日本食ロス」は、海外駐在のリアルを映す鏡です。
この記事では、現地で実際に使った対処法と、赴任前に知っておいてほしいことをまとめます。
- メキシコで日本食は実際に買えるのか・いくらかかるか
- 赴任前に持参すべき食品の具体的なリスト
- 日本食ロスを3年間で乗り切った5つの方法
- 日本食ロスの本当の正体(家族ロス・孤独感との関係)
【結論】日本食ロスは必ず来る。でも乗り越えられる

メキシコ駐在3年の間、日本食が恋しくならなかった月は1回もありませんでした。
「自分だけがつらいのかな」と思う必要はないです。
海外駐在した人の多くは、赴任後3〜6ヶ月の間に一度、どこかで「帰りたい」と思います。
その入り口がだいたい「食」です。
ただ、乗り越え方はあります。自分がメキシコ3年で実際にやってよかったことを、そのままお伝えします。

日本食が恋しくなるのって、海外に向いていないってことですか?



自分は赴任2週間で醤油が恋しくなりました。
それを同僚に話したら『自分は3日目だった』と言われました。
向いているかどうかとは別の話です
駐在3ヶ月目に牛丼が食べたくて仕方なくなった


あれはモンテレイに着いてちょうど3ヶ月が経った頃でした。
現地の食事には慣れてきたつもりでした。
タコスも好きになった。サルサも美味しいと思えてきた。
なのに突然、吉野家の並盛りの映像が頭から離れなくなった。
理由は今でもよくわかりません。
職場でストレスがあったわけじゃない。
体調が悪かったわけでもない。
ただ「牛丼が食べたい」という気持ちが消えなくなりました。
帰任後、成田空港でたべた牛丼特盛は最高でしたね、今でも覚えています。
その夜、スマホで「メキシコ 吉野家」と検索したら、メキシコシティにあることがわかりました。
でも自分がいたモンテレイからは車で10時間以上。
結局その日は、冷蔵庫に残っていた日本から持参した醤油でご飯を炊いて食べました。うまかった〜。
メキシコで日本食は買えるのか?現地事情


結論から言うと、都市部なら意外と揃います。
ただし日本の2〜4倍の値段です。
現地で買えるもの
メキシコの主要都市(モンテレイ、メキシコシティ、グアダラハラ)には、アジア系スーパーや日系食料品店があります。
- 醤油(キッコーマン):どこでも手に入る
- 味噌:アジアスーパーに行けばある
- 日本米(カリフォルニア米が多い):大型スーパーでも見つかる
- カップラーメン(日清、エースコック):アジアスーパー中心
- ふりかけ・お茶漬け:アジアスーパーで見つかるが在庫は不安定
- のり・わさび:量は少ないが手に入る
現地で手に入りにくいもの
- 出汁(だし)パック・白だし:見つかるが高い
- おかかや梅干し:アジアスーパー頼みで品切れ多い
- みりん:ほぼない。料理酒で代用することになる
- 生の豆腐:冷蔵管理の問題で品質がバラバラ
日本のカップラーメンが500円もした


初めて現地のアジアスーパーで日本のカップラーメンを見たとき、値段を見て一瞬固まりました。
1個500〜600円。
日本では200円もしないものが。
醤油は700円。ふりかけは800円。のりは一袋1,000円超えることもある。
それでも買います。そのくらい「日本の味」への渇望が強いということです。
| 商品 | 日本での価格(目安) | メキシコでの価格(目安) |
|---|---|---|
| カップラーメン(日清) | 約180円 | 約500〜600円 |
| 醤油(キッコーマン 150ml) | 約200円 | 約600〜700円 |
| ふりかけ(1袋) | 約250円 | 約700〜800円 |
| 日本米(2kg) | 約1,000円 | 約3,000〜4,000円 |
月に日本食品を買い続けると、食費の2〜3割が日本食関連になる月もありました。
それでもやめられない。
駐在前に持っていくべき食品リスト


これは先に知っておいてほしいことです。
現地で買えないわけではないけれど、コスパが圧倒的に悪いので、日本から持参するのが現実的です。
必ず持参したいもの
- だし(だしパック・顆粒だし):現地でほぼ入手不可
- みりん・酒:料理の幅が大きく変わる
- 乾燥わかめ・高野豆腐:軽くてかさばらない
- レトルト食品(カレー・丼の素):精神安定剤になる
- ふりかけ・お茶漬けの素:白いご飯だけで満足できるようになる
- 乾燥麺(そうめん・そば):夏の暑い日に絶大な威力
持参する量の目安
スーツケースのスペースがあれば、だしと乾燥食品を多めに持っていくことを強くすすめます。
着任後3ヶ月分くらいは余裕を持たせると、最初の日本食ロス期を乗り越えやすいです。
日本食ロスを乗り切った5つの方法


3年間で実際に効いた方法をまとめます。
① 日本料理を自分で作る
「自炊すればいい」と思うかもしれませんが、意外と難しい。
だしがない、みりんがない、材料が違う。
そこで一番役立ったのが持参しただしパックとふりかけで乗り切ること。
味噌汁一杯でかなり精神が落ち着きます。
② 現地の日本食レストランを開拓する
都市部には日系ラーメン店、日本人が経営する定食屋があります。
値段は日本の1.5〜2倍ですが、月に2〜3回の「ご褒美」として使うと効果絶大です。
自分はモンテレイでラーメン屋を見つけてから、そこが精神的な拠り所になりました。
③ 日本からの仕送りを定期化する
家族に頼んで、1〜2ヶ月に1回、段ボールを送ってもらうのが一番確実です。
着任して3ヶ月は「必要なものを送ってほしい」とリストを送り合う作業が、家族とのコミュニケーションにもなります。
④ アジアスーパーを巡る
日本食だけにこだわらず、韓国食品・台湾食品・中国食品も積極的に使うようになりました。
特に韓国の調味料(コチュジャン、ごま油)は品質が高く、日本食の代替になる場面が多い。
柔軟になると選択肢が広がります。
⑤ 開き直って現地食を楽しむ期間を作る
「日本食を求めすぎない週」を意識的に作ると、逆に楽になりました。
タコス・ポソレ・アグア フレスカを本気で楽しもうとすると、「食」に対するストレスが半分以下になります。
家族が送ってくれたふりかけで泣きそうになった


赴任から半年後、日本の実家から段ボールが届きました。
中に入っていたのは、インスタント味噌汁、乾燥わかめ、だしパック、そしてふりかけ。5種類入りのパック。
母が何も言わずに選んで入れてくれたものでした。
梱包を開けてふりかけを見た瞬間、なぜか胸が詰まりました。
日本食が恋しいんじゃなかった。
日本が恋しかったんだと気づいたのはこの時でした。
実は日本食ロスより家族ロスのほうがきつかった


これが本音です。
日本食が食べたい気持ちは、だいたい日本の人・時間・空気感が恋しい気持ちが形を変えたものです。
牛丼が食べたいのは、仕事終わりに吉野家に寄っていた日常の感覚が懐かしいから。
カップラーメンが食べたいのは、深夜に家族と食べた記憶があるから。
だしの香りに反応するのは、実家の台所の匂いと紐づいているから。
「日本食ロス」は表面の感情で、その下に孤独と家族恋しさが流れている。
海外駐在のきつさの本質は、正直ここにあります。



そんなにつらいなら、駐在は行かない方がいいですか?



行った方がいいと思っています。
あの孤独を経験したからこそ、家族のありがたさが骨の髄まで染みました。
自分は帰国後、子どもとの時間の使い方が明確に変わりました
家族帯同で悩んでいる人へ


「子どもや奥さんを連れていっても大丈夫か?」という相談をよく受けます。
結論は、帯同できるなら連れて行った方がいいです。
単身赴任は孤独が倍になります。
家族がいると、食卓を囲むだけで「日常」が生まれます。
食事面の不安については、日本人駐在員コミュニティで情報が回るので、赴任後1ヶ月以内にだいたいの調達先は見えてきます。
よくある質問


【まとめ】日本食ロスは、海外駐在のリアルが見えるサインだった


日本食が恋しくなることは、弱さでも失敗でもありません。
それは「日本という場所がどれだけ自分の中に根付いているか」の証拠です。
自分も最初の1年は、日本食を食べられた日は機嫌がよくなり、食べられない日は気持ちが沈みました。
でも3年が経つ頃には「今週は豆腐を自分で作ってみよう」「コリアンダーをうまく使えるようになってきた」という楽しさに変わっていました。
海外駐在のリアルは、旅行では絶対に味わえないものです。
不便さも含めて、全部経験です。
赴任前に不安な人も、今まさに日本食ロス中の人も、今いる場所で工夫しながら続ける価値は十分あります。


この記事はメキシコ駐在3年の実体験をもとに執筆しています。
現地の食材状況・価格は時期や地域によって異なります。








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