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海外赴任中の投資・運用術【非居住者でもできること・できないこと】

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赴任が決まって最初に焦ったのは、NISAをどうするかでした。

「非居住者になるとNISAが使えなくなる」という話を聞いて、積み立ててきた口座をどう扱えばいいのかわからなかった。
調べても情報が古かったり、状況によって違うと書いてあるだけで、結局何をすべきかが見えなかった。

そのあと気づいたのは、「やるべき手続きがある」ということより、「手続きをしないで出国した場合のリスク」を知っていなかったことが問題だったということです。

この記事では、海外赴任中の投資・運用について「何ができて、何ができないか」を整理します。
手続きなしで放置した場合に何が起きるかも含めて書きます。

この記事でわかること
  • 海外赴任中に「非居住者」になる意味と誤解されやすいポイント
  • 手続きを放置した場合の3つのリスク
  • NISAとiDeCoの赴任中の扱い
  • 証券会社ごとの対応の違い
  • 配偶者・帯同家族の口座はどうなるか
  • 赴任前にやっておくべきタイムライン
  • 帰国後の手続き

赴任中は投資できないってこと?

新規の積立はできなくなります。
ただし保有している資産はそのまま持ち続けられます。
赴任前の準備次第で、運用を止めずに続けられます

目次

海外赴任中に「非居住者」になると何が変わるか

「非居住者」の定義と誤解されやすいポイント

日本の税法上、生活の本拠が1年以上海外にある場合は「非居住者」として扱われます。

ここで多くの人が誤解するのが、「住民票を残しておけば居住者扱いになる」という思い込みです。
住民票の有無は法律上の判断基準ではありません。
実態として1年以上海外に住んでいれば、住民票があっても非居住者と判定されます。

また、マイナンバーと金融口座の紐付けにより、証券会社は住所変更を把握しやすくなっています。
「黙っていれば大丈夫」という状況ではなく、出国前に正式な手続きをとることが前提です。

非居住者になると変わること

項目居住者(日本在住)非居住者(海外赴任中)
NISA新規積立できるできない
iDeCo新規積立できるできない(加入中は継続可)
証券口座の売買できる証券会社によって制限あり
日本の銀行口座通常利用可一部サービス制限あり
配当金の源泉徴収率通常税率非居住者向け税率に変更

これだけ見ると不便に感じますが、「保有し続けること」はできます。
赴任前に積み立てた資産をそのまま持ち続けて、帰国後に再開する形が現実的な運用方法です。

手続きを放置した場合の3つのリスク

赴任前に何もしないで出国すると、以下の3つのリスクが発生します。

リスク

NISA口座の強制廃止

非居住者になったことを証券会社に届出せず放置すると、NISA口座が強制的に廃止されるケースがあります。
廃止されると、それまで積み立てた資産に含まれる含み益が課税対象になる可能性があります。

手続きをしていれば保有を継続できたのに、手続きをしなかったために課税されたというのが最も多い失敗パターンです。

リスク

証券口座の取引停止・凍結

非居住者の状態で口座を放置すると、証券会社から取引を停止される場合があります。
保有資産の売却も出金もできなくなると、その後の資産整理が帰国後まで一切できない状態になります。

リスク

税務申告の手続き漏れ

配当金の源泉徴収率は、居住者と非居住者で異なります。
手続きをしないまま配当を受け取り続けると、申告のやり直しが必要になる場合があります。
帰国後に税務処理を整理するのは想像以上に手間がかかります。

手続きって出国前にしないとダメ?
赴任してからでも間に合う?

理想は出国の1〜3ヶ月前です。
書類の郵送・審査に時間がかかるため、直前では間に合わないケースがあります。
特にNISAの手続きは余裕を持って動くことをすすめます

NISAは赴任前に手続きが必要

会社命令の赴任かどうかで扱いが変わる

NISAには「非課税口座継続適用届出書」という制度があり、これを提出することで赴任中もNISA資産の保有を継続できます。

ただし、この制度が適用されるのは会社命令による海外赴任の場合に限られます。
自己都合の留学・移住は対象外です。

  • 会社命令の海外赴任 → 継続適用届出書の提出でNISA保有継続可
  • 自己都合の海外移住・留学 → 対象外、原則廃止

赴任前にやること

NISA口座は、非居住者になる前に「出国手続き」をする必要があります。
手続きをしないまま出国すると、NISA口座が自動的に廃止になるケースがあります。

手順(SBI証券・楽天証券の場合)

1. 証券会社に出国日を連絡

2. 「非居住者届出書」等の書類を提出

3. 「非課税口座継続適用届出書」を提出(会社命令の赴任の場合)

手続きをすれば、これまで積み立てた資産はそのまま保有できます。
ただし新規の買付・積立はできなくなります。

赴任中のNISA資産はどうなるか

  • 保有は継続可能
    →赴任前に購入した投資信託・株式はそのまま持ち続けられます
  • 値上がり益は非課税のまま
    →保有中の含み益は帰国後に売却しても非課税扱いが続きます(証券会社・状況によって異なる場合あり)
  • 帰国後に再開可能
    →帰国して居住者に戻ったら、NISAの新規積立を再開できます

主要証券会社の対応比較

証券会社によって非居住者への対応は大きく異なります。
赴任前に自分が使っている証券会社の方針を必ず確認してください。

証券会社NISA継続取引継続特徴
SBI証券条件付き可一部制限あり非居住者向けサポートが比較的充実
楽天証券条件付き可一部制限あり国内株のみ取引可のケースあり
野村證券相談対応対面サポートあり大手ならではの個別対応が強み
マネックス証券原則解約制限あり事前確認が特に重要
auカブコム証券原則解約制限あり赴任前の対応が必須

※ 各社の対応方針は変更される場合があります。必ず利用している証券会社に直接確認してください。

iDeCoの扱い

iDeCoは現在加入中であれば、海外赴任中も「運用指図者」として継続できます。
ただし新規の掛け金拠出はできません。

これまで積み立てた分は引き続き運用されます。
「止まるが消えない」と理解しておけば大丈夫です。

帰国後に再び掛け金を拠出できます。
60歳まで引き出せない制約は赴任中も変わりません。

配偶者・帯同家族の口座はどうなるか

見落としがちなのが、配偶者や子どもの口座への影響です。

帯同する場合(家族全員が海外へ)

配偶者も同様に「非居住者」扱いになります。
配偶者がNISA口座を持っている場合は、同じく出国前の手続きが必要です。
子どものジュニアNISAも確認が必要です。

家族全員分の口座をリストアップして、それぞれ手続きをとることが重要です。

単身赴任の場合(配偶者が日本に残る)

配偶者は日本に居住し続けるため、配偶者のNISA・iDeCo・証券口座は通常通り利用できます。
世帯として見れば、配偶者の口座で積立投資を継続できる点はメリットです。

非居住者でもできる資産運用

新規の積立ができなくても、資産を「増やし続ける」方法はあります。

方法
保有資産の継続運用(最も現実的)

赴任前に積み立てた投資信託はそのまま持ち続けます。
複利で増え続けるので、赴任期間中も「放置して増える」状態を作れます。

方法
現地通貨での貯蓄

赴任先の現地銀行に口座を作り、現地通貨で貯蓄する人もいます。
帰国時に円に戻すと為替差益が出るケースもありますが、差損リスクもあります。

方法
海外赴任手当・住宅補助を最大活用

赴任中は手当が多く出るため、日本での生活コストがほぼゼロになる人もいます。
この期間に生活費をほとんど使わず、給与の大部分を帰国後の投資原資として温存する。
これが最もシンプルで効果的な「赴任中の資産運用」です。

赴任中は手当が多いって聞くけど、具体的にどれくらいもらえるの?

会社によりますが、住宅手当・危険地手当・赴任手当を合わせると月10〜30万円の上乗せになるケースが多いです。生活費が会社負担になれば、給与がほぼそのまま手元に残ります

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【赴任前タイムライン】いつまでに何をするか

「時間があると思っていたら直前になっていた」という状況を防ぐために、目安のタイムラインを作りました。

時期やること
赴任3ヶ月前家族全員の証券口座・NISA口座をリストアップ
各社の非居住者対応を確認
赴任1〜2ヶ月前証券会社・金融機関に出国日を連絡
必要書類の取り寄せ開始
赴任1ヶ月前継続適用届出書・非居住者届出書を提出
保有できない商品は整理
出国直前銀行口座の自動引落・保険の継続を確認
税務関係を会社経理に確認
出国後手続き完了の確認
証券会社からの通知をメールで受け取れる設定に

帰国後にやること

帰国後も手続きが残っています。
放置しているとNISAが自動廃止になるケースがあるため、帰国したらすぐに動くことが重要です。

1. 住民票を再登録する(市区町村の役所)

2. 証券会社に居住者に戻った旨を報告する(各社の書類が必要)

3. NISA口座の新規積立を再開する手続きをとる

4. iDeCoの拠出再開申請をする

帰国後の手続きを後回しにしていると、せっかく保有し続けた資産の非課税メリットを活かせないまま口座が廃止になることがあります。
帰国したら最初の1〜2週間で金融関係の手続きを済ませることをすすめます。

赴任前にやっておくべき手続きチェックリスト

証券口座関係

  • [ ] 家族全員の証券口座・NISA口座をリストアップする
  • [ ] 証券会社ごとの非居住者対応を確認する
  • [ ] 証券会社に出国日を連絡する
  • [ ] NISA口座の非居住者手続きを確認・完了する(継続適用届出書の提出)
  • [ ] iDeCo加入中の場合、金融機関に連絡する

銀行関係

  • [ ] メインバンクに海外赴任の旨を連絡する
  • [ ] 帰国後に使う口座の残高を確保しておく
  • [ ] 家賃・保険等の自動引落が止まらないか確認する

保険関係

  • [ ] 生命保険・学資保険の継続可否を確認する
  • [ ] 海外旅行保険・現地の医療保険を手配する

税務関係

  • [ ] 出国日前後の確定申告の要否を確認する(税理士または会社の経理に相談)
  • [ ] 住民税の取り扱いを確認する(出国年の1月1日時点の住所で決まる)

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よくある質問

海外赴任中にNISAを放置するとどうなりますか?

出国前に非居住者届出の手続きをしていれば、保有資産はそのまま持ち続けられます。
手続きなしで放置すると口座が廃止になり、含み益に課税されるリスクがあります。
赴任前に必ず証券会社に連絡してください。

会社命令でなくても継続適用届出書は使えますか?

会社命令による海外赴任が対象です。
自己都合の留学・移住は「やむを得ない事由」に該当しないため、継続適用は認められません。
赴任の性質を会社に確認したうえで手続きを進めてください。

配偶者も同じ手続きが必要ですか?

帯同する場合は配偶者も非居住者になるため、同じ手続きが必要です。
見落としがちなので、家族全員の口座を赴任3ヶ月前にリストアップすることをすすめます。

赴任中に日本株を売買してもいいですか?

証券会社によって対応が異なります。
非居住者は国内証券での売買が制限されているケースがあります。
赴任前に利用している証券会社に確認することをすすめます。

海外赴任中も住民税は払いますか?

出国届を提出すると住民票が抜けるため、翌年の住民税は課税されません。
ただし出国した年の1月1日時点で日本に在住であれば、その年分の住民税は発生します。

帰国後にNISAを再開する手続きは必要ですか?

帰国して住民票を入れ、証券会社に居住者に戻った旨を連絡することで再開できます。
手続きを後回しにすると口座が廃止になる場合があるため、帰国後1〜2週間以内に動くことをすすめます。

赴任中の収入はどこで確定申告しますか?

非居住者は日本国内の所得について申告義務があります。
会社の経理が処理してくれるケースが多いですが、赴任前に担当部署に確認しておくと安心です。
現地での課税と日本での申告が重複しないよう、租税条約の適用も確認してください。

【まとめ】赴任前の準備が「運用を止めない」鍵

海外赴任中も資産を止めずに動かし続けられるかどうかは、赴任前の手続きにかかっています。

放置のリスクを知らずに出国してしまうと、積み立ててきた資産が一度リセットされるような事態になりかねません。
特にNISAの継続適用届出書・証券会社への非居住者届出は、赴任3ヶ月前から動き始めることをすすめます。

家族全員の口座確認・帰国後の手続きも含めて、「赴任前にやることリスト」を一度整理しておいてください。

赴任中に使わなかった手当を帰国後の投資原資にする。
その準備を、今の段階から考えておいてください。

この記事は一般的な情報をもとに執筆しています。税務・金融制度は変更されることがあります。具体的な手続きは利用している金融機関および税理士にご確認ください。

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